ヨーロッパのサッカーを観ている層の中には「セリエAは弱い」「イタリア勢は弱い」というイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。実際ネットではそのような書き込みやコメントがチラホラ見られます。
今回はそういったセリエAに対するイメージは本当なのか、他の欧州主要リーグのチームと比較(CL/ELの成績を比較)し、検証してみました。
各欧州主要リーグのCL/ELの成績(2009-2010シーズン~2024-2025シーズン)
リーグのレベルを評価する基準として、2009-2010シーズン~2024-2025シーズンの間、CL/ELでベスト4に入った回数を集計することとします。
セリエA(イタリア勢)のCL/ELの成績(2009-2010シーズン~2024-2025シーズン)
| CLベスト4 | ELベスト4 | |
| インテル | 3回 | 1回 |
| ユヴェントス | 2回 | 2回 |
| ローマ | 1回 | 3回 |
| アタランタ | 1回 | |
| ナポリ | 1回 | |
| フィオレンティーナ | 1回 |
プレミアリーグ(イングランド勢)のCL/ELの成績(2009-2010シーズン~2024-2025シーズン)
| CLベスト4 | ELベスト4 | |
| マンチェスター・シティ | 4回 | |
| リヴァプール | 3回 | 2回 |
| チェルシー | 3回 | 2回 |
| マンチェスター・ユナイテッド | 1回 | 4回 |
| アーセナル | 1回 | 3回 |
| トッテナム | 1回 | 1回 |
| フラム | 1回 | |
| ウェストハム | 1回 |
ラ・リーガ(スペイン勢)のCL/ELの成績(2009-2010シーズン~2024-2025シーズン)
| CLベスト4 | ELベスト4 | |
| レアル・マドリード | 13回 | |
| バルセロナ | 8回 | |
| アトレティコ・マドリード | 3回 | 3回 |
| ビジャレアル | 1回 | 3回 |
| セビージャ | 5回 | |
| バレンシア | 3回 | |
| アスレティック・ビルバオ | 2回 | |
| セルタ | 1回 |
ブンデスリーガ(ドイツ勢)のCL/ELの成績(2009-2010シーズン~2024-2025シーズン)
| CLベスト4 | ELベスト4 | |
| バイエルン・ミュンヘン | 8回 | |
| ドルトムント | 2回 | |
| シャルケ04 | 1回 | |
| レヴァークーゼン | 2回 | |
| フランクフルト | 2回 | |
| ハンブルク(HSV) | 1回 | |
| ライプツィヒ | 1回 |
リーグ・アン(フランス勢)のCL/ELの成績(2009-2010シーズン~2024-2025シーズン)
| CLベスト4 | ELベスト4 | |
| PSG | 4回 | |
| リヨン | 2回 | 1回 |
| モナコ | 1回 | |
| マルセイユ | 2回 |
集計してみての感想

レアル・マドリード、バルセロナ、バイエルンが鬼のように強いなぁ・・・
誰もが認める世界最強プレミアリーグが思ったほど伸びてないなぁ・・・
セリエA、弱くないよね・・・
でもやっぱりイングランド勢、スペイン勢が強い。イタリア勢はドイツ勢とともに第二グループにいるのは間違いない・・・
イタリアは混戦、ドイツはバイエルン一強、フランスはPSG一強か・・・
という感じで、だいたい予想通りの集計結果になったので、月並みな感想しか出てきませんでした。
皆さんはこの集計結果を見てどのような感想を持ったでしょうか。
セリエAが弱いと言われる理由はこれ!
セリエAが弱いと言われる理由は、「昔に比べたら弱くなったよね」ということだと思います。
1990年代から2000年代初頭にかけて、セリエAは世界中のビッグネームが集まり、世界最強リーグと呼ばれていました。そう、今のプレミアリーグみたいに。
ところが、2000年代後半から2010年代になると、イタリア勢はCL/ELで思うような結果を出せなくなり低迷。この頃のイタリアはビッグクラブでさえも経営が苦しく、移籍市場でイングランド勢やスペインの強豪に後れを取るようになっていました。また、試合でもイングランド勢にはフィジカルの差を、スペイン勢には戦術や技術力の差を見せつけられるという苦しい状況に置かれていました。
こうした状況を打破するべく、イタリアも次のような改革に乗り出します。
- 外国資本の積極的な導入(財政面の安定)
- 戦術的なアプローチの見直し(攻撃的なサッカーをするチームが増加)
- 若手外国籍選手のスカウト強化(その反面、イタリア人選手の出番が減少)
その改革の成果が表れたのか、2020年代に入って、インテルがCL準優勝2回、アタランタがEL優勝、ローマがELベスト4に2回と、イタリア勢復権の兆しを見せています。
2010年以前にCLで強かったミラン、2010年代に2度CL準優勝しているユヴェントスもそろそろ復活してほしいところです。
「セリエAは弱い」と言っているのは、”昔のこと”を知っているおじさんたちなのかな・・・
セリエAの現状の立ち位置
第一グループ:プレミアリーグ(イングランド勢)、ラ・リーガ(スペイン勢)
第二グループ:セリエA(イタリア勢)、ブンデスリーガ(ドイツ勢)
第三グループ:リーグ・アン(フランス勢)
欧州主要リーグで比べると、現状セリエAはブンデスリーガと同じぐらいの立ち位置にいるのは間違いないと思います。
セリエAが毎シーズン混戦になるのに対し、ブンデスリーガはほぼバイエルン一強というリーグ内のパワーバランスの違いはありますが。
私はあまり高望みはしていません。CL/ELで一定の存在感を示して、この3位・4位くらいをキープしてもらえればそれで満足です。
まとめ
- セリエAが弱いと言われる理由は、「昔に比べたら弱くなったよね」ということ
- 本当に弱かった時代は2000年代後半から2010年代(この時代は弱いと言われても仕方がない)
- 2020年代に入って、インテルがCL準優勝2回、アタランタがEL優勝、ローマがELベスト4に2回と、復権の兆し
- 欧州主要リーグで比べると、現状セリエAはブンデスリーガと同じぐらいの立ち位置

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