セリエAは人気がない?セリエAの国際的な人気と日本における人気を考察

セリエAは人気がない?のアイキャッチ画像 セリエA全般

近年、日本でも海外サッカーの視聴機会が格段に増えました。
インターネット配信サービスの充実により、これまでテレビ放送に依存していた海外リーグ視聴が、スマホやパソコンでいつでも楽しめる時代になっています。しかし、人気や視聴者数の面で、欧州主要リーグの間には大きな差があります。
この記事では、公開されているデータやメディアの報道をもとに、セリエAの国際的な人気と日本における人気について考察します。

各リーグの収益規模と放映権収入

当たり前のことかもしれませんが、収益規模と放映権収入はリーグの人気に深く関係しています。

2023-24シーズンの総収益を見ると、プレミアリーグが圧倒的で約11億ユーロ、ラ・リーガとブンデスリーガが約3.8億ユーロ、セリエAは2.9億ユーロ、リーグ・アンは2.6億ユーロでした

最新の欧州主要リーグ人気ランキングを見ると以下のようになっていました。

  1. プレミアリーグ
  2. ラ・リーガ
  3. セリエA
  4. ブンデスリーガ
  5. リーグ・アン

放映権収入においてもプレミアリーグは海外分だけで約19億ユーロ/年と桁違いです。
一方、セリエAの放映権収入は2021-24年で約6.7億ユーロ/年ですが、2027-30年サイクルでは19億ユーロを目指しており、成長意欲は高いです。
この成長意欲の高さはポジティブに評価できます。セリエAは歴史的に多くのスター選手を輩出してきたリーグですし、再び世界市場で存在感を強めようという動きが数字に表れています。

プレミアリーグとセリエAのアメリカにおける視聴者数・ファン層の広がり

プレミアリーグは189か国に放映され、18.7億人のファンがいるとされています。アメリカ市場でも視聴者数は増加し、特定の試合ではNFL並みの視聴率を記録しています。

一方、セリエAもアメリカでは健闘しており、2024-25シーズンはCBSやFOX Deportesの完全中継で視聴者数が前年より50%増加しました。アメリカ代表のクリスチャン・プリシックやティモシー・ウェアの存在も注目を集める要因のようです。

アメリカでのセリエAの強みは、単にサッカーの質だけではなく「文化的背景」にもあります。アメリカのイタリア系人口や、食・ファッションなどのイタリア文化を巻き込んだマーケティングは他リーグにはない魅力だと思います。
食やファッションなどを巻き込んだマーケティングは日本でも応用できるかもしれません。

セリエAの国際的な人気度

セリエAの国別人気ランキングも紹介しておきます。

  1. イタリア(本国)
  2. スイス
  3. ルーマニア
  4. ブラジル
  5. ベルギー

スイスやルーマニア、ブラジル、ベルギーといった、上のランキングに入っている国の選手はセリエAで数多く活躍しています。それが人気の要因になっているのは間違いありません。
また、このデータではアルジェリアやカメルーン、セネガルといったアフリカの国々でも人気が高いことが示されています。

セリエAの日本での人気度

結論から書くと、残念ながら現状セリエAは日本で人気がありません。

日本ではプレミアリーグの人気が突出しています。
ABEMAが2023年8月から2024年5月まで配信したプレミアリーグ2023‑24シーズンの累計視聴者数は2600万人を超えました。特に三笘薫や遠藤航ら日本人選手が所属するブライトンやリヴァプールの試合が注目され、上位5試合はいずれも三笘が出場したブライトンの試合でした。また視聴者のデータを見ると、そのシーズンは20代の視聴割合が40%増加し、夜11時までにキックオフする試合への視聴が多かったと報告されています。プレミアリーグは試合時間が日本の夜のゴールデンタイムに近く、見やすさも人気を押し上げています1
2024-25シーズンからはU‑NEXTがプレミアリーグの国内独占配信権を取得。U‑NEXTはプレミアリーグをキラーコンテンツと位置付けています。

セリエAはDAZNやABEMA de DAZN(有料)での配信が中心で、無料視聴の機会が少ないため、視聴者数は限られてしまいます。さらに日本人選手がほとんど在籍していない点も人気獲得の壁です。
セリエAファンとしては寂しいところですが、この2つの問題がかなり大きいのではないかと思います。
日本人選手がセリエAに入ってきてくれることが前提(日本人選手がいないとニュースや露出が減る)ですが、もっと無料お試し視聴ができる環境を作って、ライト層や新規のファンにアピールすることが重要だと思います。
セリエAのクラブもできれば日本市場向けのマーケティング(クラブの来日や日本語コンテンツでのSNS発信など)を強化してもらいたいところです。
それ以外の問題として、「セリエA視聴者=おじさん」というイメージや、ボロいスタジアムから滲み出るアングラ感で、なかなか入っていきずらいというのもあると思います。
その”おじさん”たちが、セリエAの魅力を歴史やストーリーも交えて面白おかしく発信して、セリエAに対する取っ付きにくさを和らげることも重要だと思います。

まとめ

セリエAは国際的な人気はまずまずですが、日本では人気がないのが現状です。

日本で再び人気を得るための案

  • 無料お試し視聴ができる環境を作る
  • 各クラブが日本人選手を獲得する
  • 各クラブのマーケティング強化(食やファッションなどのイタリア文化を絡める、クラブの来日、日本語コンテンツでのSNS発信)
  • 入っていきずらい雰囲気を和らげるような個々の発信

人気回復の道のりは大変ですが、少しでもセリエAを観る人が増えてくれたらうれしいですね。

参考

Sportcal「European soccer revenues rise to €38bn in 2023-24」
https://www.sportcal.com/sponsorship/european-soccer-revenues-rise-to-e38bn-in-2023-24/

The Guardian「Premier League revenues almost double those in La Liga and Bundesliga」
https://www.theguardian.com/football/2025/mar/06/premier-league-revenues-almost-double-those-in-la-liga-and-bundesliga

World Soccer Talk「Premier League’s jaw‑dropping viewership crushes NFL」
https://worldsoccertalk.com/news/premier-leagues-jaw-dropping-viewership-crushes-nfl/

World Soccer Talk「USMNT stars spark a Serie A boom: Milan’s Christian Pulisic and co. drive record‑breaking US viewership」
https://worldsoccertalk.com/news/usmnt-stars-spark-a-serie-a-boom-milans-christian-pulisic-and-co-drive-record-breaking-us-viewership/

Aderogba Otunla, Ph.D.「The most popular football league, based on the data」
https://www.linkedin.com/pulse/most-popular-football-league-based-data-aderogba-otunla-ph-d–ykf8f

株式会社AbemaTV「国内サッカーおよび世界最高峰リーグを生中継するABEMAにて、プレミアリーグ2023‑24シーズン累計視聴者数が2,600万を突破」
https://abematv.co.jp/posts/54114888/

東洋経済オンライン「U‑NEXTサッカープレミアリーグ独占配信の成算 競争激化のスポーツ領域で勝負、放映権料も高騰」
https://toyokeizai.net/articles/-/810916

コメント

タイトルとURLをコピーしました